本社勤務。
そう聞くと、立派な肩書きやエリートコースを想像するかもしれません。
でも、僕がいたのはその「一番下」、たった一人のパートタイムという立場でした。
場所は、大手メガネチェーンの本社。
課長職以上しかいない中、僕だけが雑用担当。
まるで、映画『グッド・ウィル・ハンティング』のような毎日。
でも、気になることを見つけたら、気づいたら手が動いていて。
一つのアイデアに火がつくと、集中して一気に形にしてしまう。
そんな自分の性質を、あるときから「欠点じゃなく、武器なんじゃないか」と思うようになりました。
一時期は、月に20本以上の提案書を提出。
不思議と、会議室が空いているのに、僕の背後で部門会議が行われるようになりました。
気づけば、同時に2〜3本のリモート会議が、僕の席のすぐ後ろで行われていたことも。
ある日、緊急トラブルの電話が聞こえてきて、気がついたら30分で整理し、提案書にまとめて上司に送信。
その3分後には、別フロアで緊急会議が始まっていました。
もしかしたら、僕の「感じ方」は少し人と違うのかもしれません。
でも、そのおかげで普通はスルーされる違和感に気づけて、次の一手を形にできる。
そんな場面が何度もありました。
子会社の社長からは、「営業に戻りたいから代わってくれ(笑)」と言われたことも。
照れ隠しにしては、嬉しい言葉でした。
次に移った障害者雇用企業では、会社は赤字、スタッフは最低賃金、上司はやる気ゼロ。
でも、まずその上司を動かすことから始め、現場の空気を変えていきました。
スタッフの可能性を引き出すための「ちょこJOB」を企画し、初の黒字部門を実現。
離職率も改善し、毎年の運営予算が増額されるまでになりました。
いつしか、僕が雑談していると、上司がさりげなく耳を傾けてくるように。
まるで、「その言葉を聞き逃したくない」と思っているかのような気配すら感じるようになりました。
僕には、立派な学歴も肩書きもありません。
でも、目の前のことに心から集中し、湧いた違和感に素直に反応する。
そんな性質を活かしながら、誰よりも現場を見つめ、提案を重ねてきました。
「会社を変えるのに、ポジションは関係ない」
本気でそう思えるようになったのは、行動を重ねてきた今だからこそです。
【最後に】
この文章が、誰かの「自分も何かできるかもしれない」というきっかけになったらうれしいです。
もし、「こういう人材がいてほしい」と思ってくださった方がいたら、
ぜひ、何かのかたちでつながれたら嬉しいです。
実は今、この体験を書籍という形にしようとしています。
あのバリの旅で、ロンさんと出会ったときのように──
これからは、自分の人生の物語を、自分の言葉で綴っていこうと思っています。
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