小さな命を想うすべての人へ──バリ島で教わった「胎盤の祈り」と、親子をつなぐ儀式

人とのつながりと感謝

バリ島では、赤ちゃんが生まれると「胎盤(たいばん)」を家の敷地内に埋める習わしがある。
日本ではへその緒をもらって保管する文化があるが、胎盤を土地に還すという話は、私にとって初耳だった。

なぜ、胎盤を土に還すのか?
それは、赤ちゃんが一人で寂しくないように、兄弟姉妹のような存在を傍に置くためなのだという。

バリの人々は信じている。
「胎盤はもう一つの命であり、子どもの魂と深くつながっている」と。
だから、それを近くに埋め、命のバランスを整える

そして、それは単なる風習ではない。
**子どもが早くに亡くなることを防ぐ“祈りのかたち”**でもあるのだ。

胎盤を持ち帰るという選択

「日本でも、それってできるの?」
私はロンさんに聞いた。

彼は関西弁でさらりと言った。
「病院に言えば、もらえるよ」

では、引っ越す時はどうするのか?
「その土を少しだけ持って、新居の敷地に撒いたらええ」

実際、ロンさんの家の敷地にも、胎盤を埋めた場所があるという。
花が添えられ、その場所を静かに守っている。

子どもが1人っ子であることも多い日本では、
“見えない家族”を側に置く”というこの風習は、今こそ必要とされるものかもしれない

日本の供養と、バリの「つながる儀式」

私と妻がロンさんから受けたのは、いわば日本でいう「水子供養」に近い儀式だった。
けれど、まったく違っていた。

日本の多くの供養は、お坊さんにお願いし、お経をあげてもらう“お任せの祈り”。
しかし、バリの儀式は**“一緒にやる”**。
ロンさんの導きのもと、親自身が子どもの魂と向き合う時間だった。

儀式では、聖なるヤシの実の水を飲み、色とりどりの花に包まれて沐浴をする。
そして夫婦で祭壇の前に寝そべり、ロンさんのエネルギーによる施術が行われた。

その時間は約1時間ほど。
けれど、あっという間だった。
帰る頃には、神輿を担いだ後のような、晴れ晴れとした清々しさが心に残った。

地に足をつける──遠くに行きそうな子どもたちへ
この儀式は、亡くなった命への祈りにとどまらない。
今、目の前にいる**子どもとのつながりを深める“魂の儀式”**でもある。

たとえば、どこかフワフワして落ち着きのない子、
現実から逃げたくなってしまう子、
あるいは、命をつなぐことに不安を抱えている親──。

ロンさんの儀式は、子と親を“地に足つけて”結び直す力があるのだ。

実際、バリ島に滞在中、ロンさんから頼まれて「姿が見えなくなった人」をSNSで探し、つなげたこともある。
それほど、魂のつながりは“見えなくても存在している”という感覚が、バリの人々にはある。

七五三や命日とは違う、“生きている今”の感謝

日本には、七五三という文化がある。
子どもがその年まで無事に育ったことを、神社に参って感謝する日だ。

ロンさんの儀式は、それに似ている。
けれどももっと、“生きている今”に深く触れる。

ただ拝むだけでなく、
ただ祈るだけでもなく、
親が、子と、命と、まっすぐ向き合う「祭り」

ロンさんはそう言った。
「これは、供養じゃない。祭りやねん」

そう言って、笑った。

それは、涙を流すためではなく、命のつながりを喜ぶための儀式だった。

あなたの大切な命を、もう一度“抱きしめる”旅へ

子どもを亡くした方にも、
生きることに不安を感じている親にも、
ぜひ、ロンさんの儀式を知ってほしい。

命とは何か。
魂とは何か。
子どもと親が本当の意味で「つながる」とはどういうことか。

バリの風と、花の香りと、神聖な水に包まれながら、
あなたは、もう一度、命を抱きしめる体験をすることになるだろう。

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